天気図ってあるじゃないですか、天気予報でよく見る地図の上に等高線が書いていて、どこに高気圧があってどこで雨が降りやすいか解説する図。

私は身体にも天気図のようなものがあるとイメージして鍼灸をしています。

高気圧はエネルギーが高まっていて、熱があったり凝っていたり痛みがあったり、あるいは意識が集中しているところ。

低気圧は反対にエネルギーが不足していて、押しても反発する力がなかったり、冷えていたり、普段から意識されていないところ。

先日ウチの70歳のクライアントさんが、道を歩いていて子供を乗せたお母さんが運転する自転車が倒れて、とっさに助けようとして駆け出したら自分が転んで周りの人たちの手を借りることになったそうで、「あ~ぁ、自分は人助けすら出来ないようになってしまたんだなぁ~」と自嘲的に語っていましたが、いやいや他人ごとではありません。

頭に意識が集中してしまうと、足元は疎かになってしまうものです。

だから転びやすくなるのは当然のことです。

首から上に何らかの症状がある人は、頭に意識が上昇している分、足元は暗い。

自分の足が硬くなっていることや、足の裏が地面に対してどのくらい接着面積があるのか分からない人が多いです。

「自分の身体のことは自分が一番わかっている」とおっしゃる人っていますが、本当かなぁ~?

目をつぶって自分の足の指を一本一本意識できる人って、そういうトレーニングをしていない限りできないものです。

顎の力を抜くことすらできない人が多いくらいですから、いかに自分の身体も自由にコントロールできなくなっているか分かると思います。

さぁ頑張ろうというときに、足を踏ん張る人がいる、腰をねじる人がいる、歯を食いしばる人がいる、腕に力が入る人がいる、人はそれぞれ体の特定部位に力が入る癖を持っています。

その必要以上に力が入り続けている筋肉は緊張したままになり、それが身体のバランスを崩すのですね。

凝っている場所は本当に人それぞれ違います。

私のように人様のコリをほぐすことを仕事にしていると、コリとは個性そのもので、愛すべきものですが(笑)、コリを抱えている人にとっては早く手放したい厄介なものですよね。

凝っている場所に刺激を入れるというのはイメージしやすいと思いますが、鍼灸師は大体へそ曲がりなので(笑)、ちょっと意外なことをしたがるものです。

反対に皮膚の表面を触ってみて、一番凹んだ、力のない低気圧の中心を探り当てて鍼を刺したりします。

すると面白いもので、凹んだところにエネルギーが流れ込んできて、身体全体のエネルギーのムラが無くなってきて平均化してきたりします。

これは特に自律神経の乱れから体調不良を訴える人に効果が期待できる方法です。

肉体労働で痛みがあったり、慢性疲労でコリが深いところにある方には高気圧のド真ん中に鍼を刺したりします。

いずれにしても狙っているのはエネルギーの偏在を調整して、平均化することです。

「それではエネルギーの底上げはできないのですか?」と思われるかもしれませんね。

身体の偏った疲労感は、脳にとっては不快なストレス信号です。

身体を楽にしたからと言って職場の人間関係が変わったり、締め切りが延びたりはしませんので対外的なストレスは変わりませんが、少なくとも身体からの不快なストレスが軽減しただけでも、その分睡眠が深くなったり、食べたものの消化・吸収が良くなったりし、結果としてエネルギーの底上げになります。

アンチエイジングというのも結局は、加齢や過労からくる肉体の消耗を軽減することに尽きるのではないでしょうか?

つまりはストレスを軽減して、心身ともに軽く保つこと。

そのために鍼灸を取り入れてみることをお勧めします。